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[レビュー](ネタバレ)愛、アムール

淡々と終末に向かっていく映画

老々介護の限界
昔の思い出、未来への悲観
親子の認識
弟子への絶望
看護師との軋轢
隣人の優しさ
尊敬への重圧

ただ、ふたりで生きていきたかったのに、
アンヌの病状は悪くなるばかり
日常も、記憶も、体も、徐々に壊れていく生活
死を意識した大きなキッカケはない
ただ、粛々と終わりに向かっていく
徐々に積み上げられた死へのダンス

悪夢も見るようになった
アンヌも子どものように言うことを聞かなくなった
弟子には悲観され
隣人には同情された
ふたりだけで生きていきたかったのに
娘にも干渉され
看護師とはうまくいかない

いつ終わりを決断するかの映画だった気がする
映画冒頭はアンヌの死体だけが発見されたので
ジョルジュは死んでいないのかと思ったが
ラストシーン
日常に戻った老夫婦
ジョルジュは少し戸惑いながらも、
出かける準備をし、
元気なアンヌと演奏会に出かける。

ただ、これがしたかった。
こうやってアンヌと生きていたかったのに。。。

そう思うと、悲しみがこみ上げて止まらない。

妻を殺してしまったが
一緒に天国に行けて
これで良かったのかもしれない。

日本でも同じ状況はたくさんある。
ほんとにこれから考えていかなければいけない問題。

芸術と社会問題を見事に融合させた映画です。

Published in DVD レビュー